米国裁判所におけるエドウィン・Y・フジナガの有罪評決に関する弁護団声明
MRI被害弁護団
団長 山 口 廣
1 米国のラスベガス連邦地方裁判所の陪審員は、現地時間の2018年11月27日、MRI International, Inc(以下「MRI」と言う。)の代表者であるエドウィン・Y・フジナガ(以下「フジナガ」と言う。)に対し、全員一致で有罪(Guilty)の評決を下した。
MRIによる被害の救済のため活動を続けてきた当弁護団は、陪審員による適正な判断を高く評価するとともに、正義を実現されたことに敬意を表する。
また、2019年3月8日に予定されている連邦地方裁判所の裁判官による量刑の言い渡しに関し、できるだけ長期の懲役刑を言い渡すよう、強く求める。
2 ネヴァダ州法人であるMRIは、米国の診療報酬債権(MARS)の購入・回収を高収益にて行なうと喧伝し、1998年以降、我が国の投資家に対し当該事業への投資を募り、さらには2008年には第二種金融商品取引業登録をして大規模な宣伝広告による勧誘を行ってきた。しかしながらその実態は宣伝広告から大きく乖離し、顧客から受領した投資金を他の顧客の投資金や利息金の償還に流用する「ポンジー・スキーム」という詐欺的商法を長期に渡って繰り返したにすぎず、2013年4月26日に関東財務局から金融商品業登録の登録取消及び業務停止処分を受けて破綻した。
MRIによる投資詐欺の被害者総数は約8700名、被害総額は約1365億円にのぼり、被害者の多くは現在に至るまで被害回復を受けられずに将来の生活の不安を抱えて苦しんでいる。
3 当弁護団は結成以来、被害救済のため国外・国内・民事・刑事を問わずあらゆる活動を行い、フジナガをはじめとする関係者の国内における告訴状の提出、捜査協力者への支援はもちろんのこと、米国連邦政府に対しても種々の働きかけをしてきた。その結果、MRI代表者としてポンジー・スキームを主導したフジナガほか2名が2015年7月、米国にて郵便・通信詐欺などの容疑で刑事訴追されるに至った。
フジナガの刑事手続は米国ラスベガス連邦地方裁判所において進行し、ついに本年10月29日から11月27日までの間、陪審手続が執り行われた。当弁護団は米国裁判手続においても実態解明に協力し、米国連邦政府から証人として協力を要請された被害者の代表3名とともにラスベガスに赴き、被害実態を陪審員に直接訴えかけるための支援を行うなどした。
MRIによる被害者の代表者3名は、弁護団弁護士を含む多くの方々が傍聴する中、いずれもMRIによる詐欺の悪辣さや、深刻な被害状況を陪審員に対し直接証言した。他方フジナガは、無罪を主張しながらも自ら証言することを避けるなど、不誠実な態度に終始した。
その結果、12人の陪審員は、11月27日、わずか3時間半という短時間で、全員一致でフジナガに対する有罪評決を下すに至った。弁護団は、評決自体は当然の結果ではあるものの、陪審員が真摯に被害者の訴えに耳を傾け、適切な判断を下したことについて改めて敬意を表するとともに、正義が実現するプロセスを高く評価する。
今後は、2019年3月8日に、米国連邦地方裁判所において、フジナガに科すべき刑罰が宣告されることになるが、当弁護団としては、我が国の消費者に対し甚大な損害を与えた事実を踏まえ、同人に対し長期懲役刑を宣告し、フジナガの真摯な反省を促すよう、裁判所に強く求めるものである。
4 なお、MRIの我が国における代表者・鈴木順造被告人と、同人の長男でありMRIの勧誘に主導的役割を果たした鈴木ポール武蔵被告人は、フジナガと同時期に米国において刑事訴追を受けているにもかかわらず、我が国に居住しているために刑事処分を免れている。
当弁護団は、速やかに同人らを米国の刑事手続に服させるよう、日本政府が然るべき対応を取ることを併せて強く求める。
以上